2012年06月22日

2012年度基調講演質疑の回答

6月18日(月)に開催をいたしました総会の基調講演の際に、出席者の皆様からの質問をポストイットで回収をさせていただきました。
当日は、時間の関係もあり、宮崎さんに全て回答していただくことができませんでしたが、参加者より回収した質問を宮崎さんが持ち帰り、それぞれの質問に回答をしていただきました。
お忙しい中、ご回答をいただきました宮崎さんに御礼申し上げます。ありがとうございました。
回答に関しては、全て一般公開をしていただいても構わないということでしたので、宮崎さんからいただいた回答を掲載させていただきます。
各大学の皆様でも、是非ご活用ください。

以下回答。

Q.1:将来のために次世代の教育をというお話がありました。数カ月前の新聞で、都立高校で重点校を定め、防災教育に力を入れるという記事を読んだ記憶があります。社会的にそのような動きが活発になってきていることを受けて、大学でどのような教育が必要でしょうか。

A.1:都立高校重点校の防災教育は、地域貢献できる人材育成が目的です。今後、大学にそうした防災教育を受けた生徒が入学すると仮定とした場合、防災を広く社会の一員として活かす方法、学際的な視点で考えさせる教育が求められると考えています。


Q.2:「シェイクアウト」を行う際には事前の告知が重要かと思いますが、どのような形で告知を行っているのか、その方法を教えていただければ幸いです。

A.2:自治体が主催する場合は広報誌や関係機関への周知が中心です。日本版シェイクアウトのホームページでは、国内で実施されるシェイクアウトの情報を集約し、facebookなども活用しながら、告知を行っています。http://www.shakeout.jp


Q.3:阪神・淡路大震災後に「大学を起点とする災害に負けない社会づくり」のような構想は立ち上がらなかったのですか。

A.3:阪神・淡路大震災の被害も大変大きなものでしたが、社会への影響力という点で東日本大震災とは少し異なります。被災エリアも限定されていました。東日本大震災後に言われるような「災害に負けない社会づくり」という概念の普及までは至りませんでした。


Q.4:レジリエンスとは具体的にどんなものですか。環境適応力と回復力は生命力という言葉でひとくくりにできますが、異なる2つの概念だと思うのですが。

A.4:例えば、津波から命を守るためには防波堤を高くすればいいということではありません。それでは限界があるということが東日本大震災で分かりました。限界を超えたことによる被害にどう適応(避難行動をとる等)し、回復(行政機能を取り戻す等)するかがレジリエンスといえます。


Q.5:災害時、大学内に関係者以外の「外部の方」を緊急時に受け入れる点について、地域貢献の面から受け入れる方向は良いと思うのですが、逆にトラブルになることを不安に思います。その対応策はありますでしょうか。

A.5:千代田区では区内大学と帰宅困難者支援のための協定を締結しています。大学施設を支援のために開放するのですが、予め「どこを開放するか」は協定に基づき定めています。それで全ての不安材料が取り除かれる訳ではありませんが、ひとつの対応策ではあります。


Q.6:キャンパス毎に防災(被災想定)が異なる中で、全学的に有効な方策をどう見立てるべきか(内陸・沿岸)。

Q.6:理想的には上層部の理解(予算や人員配置)のもと、トップダウンでキャンパス毎に個別具体的な対策が講じられ、職員・学生が共有できると良いかと思います。が、現実的には各キャンパスの担当者・担当部署レベルで対応策を立案・検討し、上に上げていくことになると思います。


Q.7:災害ボランティアに関する業務は今回お話をお伺いすると多岐に渡っており、本学であれば様々な部署が関連します。どこがどうコーディネートするのか難しいです。

A.7:コーディネート以前にどこの誰がリードするかが重要かと思います。また、最初から全ての部署が連携するというのも組織的には難しいかと思われます。じっくりとまずは個人、部署レベルでできることから始めて反応を見てはいかがでしょうか。


Q.8:ボランティアの内容と適切な時期についてはどう考えていらっしゃいますか。直後には片付け、半年後に心のケアなど。段階を追うことがやはり大切でしょうか。

A.8:段階は大切です。というよりもボランティアは原則として必要とされることに対応します。ニーズは段階を経て変化しますから、ボランティアの内容も変わって然るべきです。もっと大事なことは「引き際」を意識することでしょうか。


Q.9:大地震が起きた時又は起きた後に学生災害ボランティアは大学内で具体的にどのような動きをするのでしょうか(災害ボランティア制度に非常に強い興味があります)。具体的に教えてください。

A.9:逆に伺いたいのですが、学生が協力してくれるとして、何を期待されますか。安否確認や避難誘導、初期消火…その期待を整理し、学生と教職員の連携を具体化するために必要な取り組みを実行することが重要です。僕は「ボランティア」としてできる範囲のことなら、どんな学生も知識と技能さえ身に付ければ、大抵のことはできると思っています。


Q.10:防災としての必要な行動

A.10:一般的な知識については既にご存知かと思います。もし不安があってご質問されているのだとしたら例えば防災体験ができる施設で体験する、お住まいの自治体の防災資料を見て学ぶ、何らかの訓練や研修に参加するなどして自信をつけてください。


Q.11-1:「教育」という言葉の内実は?

A.11-1:内実をどう解釈すればいいか分かりませんが、本講、防災や災害ボランティアにおける教育は@必要な知識を教えること、A必要な技能を習得させること、B@・Aを応用して、様々な場面で活用できるようにすること、と考えています。


Q.11-2:既存のシステムの中で、伝導士としての学生或いはボランティアグループの具体的な課題/取るべきアクションとは?

A.11-2:伝導士としての役割を果たしたいということであれば、その目的達成のためにご自身が必要だと思うことに最善を尽くすことが重要かと思います。ボランティアグループの具体的課題は様々なので一言ではいえませんが、強いて言えば継続性でしょうか。既存のシステムの中で個人・グループにできることを実際に行動に移していただければと思います。


Q.11-3:大学として「行政」をどう活用していけばいいのか?実際、行政を訪問したところ、積極的に従来の枠組みを変えていく余裕はなさそうでした。

A.11-3:どのような目的で訪問されたのでしょうか。「活用」よりも「連携、協力」の姿勢が重要と考えます。また、枠組みを変える必要もないと思います。従来の枠組みで大学・学生に何ができるか、から検討されてはいかがでしょうか。参考までに、地元自治体と大学との防災協定をコーディネート(新たな枠組みを作る)した時は、初会合から締結まで3年かかりました。


Q.11-4:先日偶々「防災士」のポスターを発見しました。災害救援ボランティア講座と同じでしょうか。

A.11-4:いいえ。無関係です。個人的見解として「士」にはそれを持たなければ何かできないというニュアンスを感じますが、防災は資格や認証の有無に関係なく誰にでもできることであり、またそうでなければならないと思います。こちらで実施・支援する講座はあくまでボランティア養成のための講座であり、資格ではありません。


Q.12:災害について簡単に学べるオススメの方法(例えば本など)があったら教えてください(簡易的なモノ)。

A.12:下記のとおりです。

【本】
地震イツモプロジェクト編『地震イツモノート』
メモリアルコンファレンスイン神戸『12歳からの被災者学』
林春男『率先市民主義 防災ボランティア論講義ノート』
吉井博明,他編『災害社会学入門[シリーズ災害と社会第1巻]』他、シリーズ全て
※一般的ならイツモノート、12歳からの被災者学が分かりやすくおすすめです。
※専門的なら京大の林先生、東経大の吉井先生の編著をおすすめします。

【インターネット】
地震ITSUMO http://www.jishin-itsumo.com/
防災・危機管理eカレッジ http://open.fdma.go.jp/e-college/
内閣府防災情報のページ http://www.bousai.go.jp/index.html
防災教育チャレンジプラン http://www.bosai-study.net/top.html

【体験施設(東京都内)】
そなエリア東京 http://www.ktr.mlit.go.jp/showa/tokyorinkai/72h/1f/01.htm
本所防災館 http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-hjbskan/
池袋防災館 http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-ikbskan/
立川防災館 http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-ttbskan/


Q.13:立場を理解する能力を身につけるためにはどのような訓練が効果的であるか。
(筆者注:災害対応に求められるコンピテンシーとして「立場を理解する能力」を紹介したことに対して)

A.13:最も簡単なのは、その立場を想定してシミュレーションやロールプレイングを行うことです。例えば「消火班班長」という立場を理解したいのなら、火災を想定した訓練で指示を出してもらう、同時並行で「父親(母親)」としての立場も考えるのであれば、安否確認をいつどのタイミングでやるか、などを試してもよいのではないでしょうか。


Q.14:大学が災害時の地域・社会との連携強化のためにできること、事例・アイディア等あれば教えていただきたい。

A.14:事例としては千代田区の例やお配りした「大学における災害ボランティア育成の現状と展望」もご参照ください。アイディアとしては、既にある関係性(官学連携や地域貢献等)を活用し、会議や報告会などで防災を話題にして、大学に期待することなどを聞いてみるだけでも、新たな動きへとつながるかもしれません。


Q.15:災害時を想定し、全職員に役割を充てられている。しかし、職員の立場より自分の安全を優先して、与えられた役割を果たさない人がいると思う。機能に準じた役割分担を適正に行うためには、どのような基準(年齢・部署・家庭の有無)で判断すべきか。また、全職員に役割を与える必要があるか。

A.15:役割や立場より自分の安全を優先(心身の危険を回避するという意味で)していただくことは重要です。仮に「消火班の班長」役が何らかの原因で指揮が取れない場合に誰がどうするか、ということが問題になります。代役を機能に応じて人員配置するとして、基準のひとつは「責任を持って(つまり立場を理解して)その職務にあたれるかどうか」です。本人ができないと判断したら、強制しても良い結果にはつながりません。役割を充てるかどうかよりも、その役割は何のためにあり、何をする必要があり、そしてどんなコンピテンシーが必要かを周知徹底することが重要と考えます(例:消火班の班長になるなら、消火器や消火栓の使用方法、位置をある程度把握されていないと困ります)。


Q.16:実際に東京が震源となった場合、守るべき優先順位は学生が1番ですが、近隣住民への支援は災害救援ボランティア推進の立場としては、どのようなことが可能と考えられますか。

A.16:大学が近隣住民を支援する際にどのようなことができるかということでしたら、大学施設の直接的被害が軽微だという前提で、例えば施設開放、避難所支援、教育支援などが考えられます。石巻専修大学のように、ボランティアセンターの開設場所を提供するというのも可能性としては考えられますが、いずれにしても、平時からの関係性が重要です。


Q.17:避難訓練などを開催しても、危機意識がうすく(?)まじめに取り組まない人たちに対してどのように意識づけをし、参加を促すのがよいか?当事者意識を高める方法によいお考えがあれば教えてください。

A.17:まず(?)が良いですね。危機意識がうすいという根拠は何か?避難訓練にまじめに取り組まない=危機意識が低いのか?僕はそうは思いません。「まじめ」じゃない人たちは避難訓練に意味がないと思っているのではなく、やり方(やらされ方)に意味がないと思っているのではないでしょうか。訓練を通じて当事者意識を高める方法としては
@いっそ任意参加にする。Aその分参加者を全力で評価する、褒める。Bじゃあ次回も宜しく、と次につなげる。などがあります。危機意識が低いから参加者少ないかも…と不安がるよりも「きっと参加してくれる」と信頼することで、変わるかもしれません。


Q.18:ボランティアに行くとすると、なかなか敷居が高いような感じがあり、行きにくいところもあるかと思いますが、もっと身近なものであることを感じさせる手段はありますか。

A.18:災害ボランティアを身近なものに、と受け取ります。まず「災害が起きてからやるボランティア」という発想を変えてあげてください。僕は「防災ボランティア」という言葉も使いますが、例えば福祉ボランティア、エコキャップ活動なども視点を変えれば防災や災害ボランティアにつながる部分があります。防災は学際的な分野ですから、あらゆる環境、場面とつながります。きっと身近に感じてもらえるポイントがあるはずです。


Q.19:大学のキャンパス内で防災訓練を行っている事例で、注意事項やアドバイスをいただければと思います。

A.19:例えば専修大学さんではShakeOutを取り入れました。学生中心、任意参加、発災対応型であり、区の訓練とも連携しています。ポイントは強制ではないこと、実践的な流れを行政とともに取り組んだ点にあります。注意事項として「職員(主催側)にやる気がない」というのはNGです。職員にやる気があるかないかを学生は見ています。主催側も参加側も「これなら積極的に参加したい!」という訓練を実施できるのが一番ですね。


Q.20:大学生のSLを増やすために学生が代々SLを引き継いでいくために必要なことはなんですか。

A.20:少しの仲間と、熱意と理解と根気がある職員の存在です。それだけで十分、彼らは活動していけるというのが経験則です。


Q.21:防災教育を続けていく工夫や体系づくりなど、何か行われていること、考えていることなどありますか。

A.21:本講でご紹介した100年構想が僕の考えです。具体的には大学における災害ボランティア育成のほか、都の防災教育検討委員として小中高で防災教育を実践しています。また内閣府・防災教育チャレンジプラン実行委員会事務局として全国の防災教育を支援するとともに、ShakeOut実施事務局として、全国の自治体に同訓練の実施を呼びかけています。…もっとも、その成果を今生で確認できそうもないことが心残りではありますが。


以上です。
何か不明な点がございましたら、代表幹事までご連絡ください。
posted by 担当幹事 at 09:29| 日記

2012年06月20日

2012年度総会を開催しました!

2012年6月18日(月)に総会を開催いたしましたexclamation×2
会場は、法政大学市ヶ谷キャンパスのボアソナードタワー26階スカイホールをお借りして開催いたしましたビル
目の前にスカイツリーや日本武道館の見える素晴らしい会場をご提供いただきました、法政大学様には改めて御礼申し上げます。

当日は、約60名の方々にご出席をいただき、総会及び第1回グループ研究会を開催いたしました。
グループ研究会につきましては、各グループのブログをご覧ください。

その後、基調講演ということで、宮崎賢哉さんよりご講演をいただきました。
テーマは、「大学における危機管理と学生災害ボランティア育成〜災害に負けない社会づくりのために〜」ということでしたが、各大学より様々な質問が出され、内容も非常に充実した基調講演となりました。
お忙しい中、ご講演を引き受けていただきました宮崎さんにも改めて御礼を申し上げます。

総会、基調講演終了後は、懇親会を開催いたしましたビール
今回は、宮崎さんにもご参加いただき、大盛況で終了しました。

次回、全体で集まるのは8月29日〜31日に開催されます夏期合宿研究会です。
皆様のご参加をお待ちしておりますひらめき

総会にご参加いただいた皆様、お疲れ様でしたexclamation×2
posted by 担当幹事 at 13:31| 日記

2012年06月12日

2012年度総会を開催します!

2012年度学生生活支援研究会の活動がいよいよ本格的に開始されます!
例年通り、総会がスタートとなります。
総会の日程は、下記の通りです。

日時:2012年6月18日(月)12:00〜
場所:法政大学市ヶ谷キャンパス
内容:総会・グループ研究会・基調講演・懇親会

今回、基調講演は宮崎賢哉氏(災害救援ボランティア推進委員会・防災ソーシャルワーカー(社会福祉士))にご講演いただきます!
テーマは、「大学における危機管理と学生災害ボランティア育成〜災害に負けない社会づくりのために〜」です。
ご参考までに・・・
宮崎賢哉氏HP
 http://kenyamiyazaki.sakura.ne.jp/myweb/Welcome.html


現在、当日に向けた準備を進めております。ダッシュ(走り出すさま)
出席される皆様とお会いできることを楽しみにしておりますexclamation×2
posted by 担当幹事 at 18:34| 日記